調味料
味覚の基本である塩味・甘味・酸味・苦味・辛味・うま味を食品に与える材料。人のし好を満たし、食欲を増進させる。
砂糖・甘味類
車糖
別名:ソフトシュガー。
結晶がごく細かい砂糖で甘味にコクがある。ビスコと呼ばれる転化糖をかけて、しっとりとさせている。
ビスコはしょ糖が分解してできるぶどう糖と果糖の混合物で、吸湿性が高いため、結晶化を抑制する作用がある。
しょ糖純度が高く、適度のコクがある。日本ではもっとも消費量が多い。
三温糖の薄褐色は主にしょ糖が熱変性したカラメル等によるが、不純物(変性物)を含み色ムラ等ができて見た目が悪くなるので、あとからカラメル液をかけて色を均一にしている。
ざらめ糖
高純度の糖液からつくられる純度の高い砂糖。結晶が車糖よりも大きく、結晶の感じがかたいため、ハードシュガーとも呼ばれる。
転化糖をほとんど含まないので、湿気を吸いにくい。
素材の微妙な風味を生かしたり、洋菓子作りに適する。
最高純度の糖液からつくられる無色結晶状の砂糖で、光沢がありさらさらしている。
菓子や果実酒に利用する。
分蜜の際にカラメル溶液をかけて色の調整を行うため、薄黄褐色をしている。
風味があり、煮物等に用いると味が引き立つ。
黒砂糖
黒砂糖はさとうきびの搾り汁から直接作る。
日本独特の製法で、糖液に石灰等を加えて煮詰めるため、本来なら糖蜜として分離される成分も残るので含蜜糖と呼ばれる。
しょ糖成分が低く、独特の風味がある。
カルシウム分が豊富であるが、これは投入した石灰のカルシウム分。
てんさい含蜜糖
オリゴ糖であるラフィノースとケストースを含む。
オリゴ糖は町内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす。
和三盆糖
糖液をある程度精製ろ過して結晶化させた白下糖を盆の上で適量の水を加えて練り上げて、砂糖の粒子を細かくする“研ぎ”という作業を行う。
研いだ砂糖を麻の布に詰め、“押し舟”という箱の中に入れ、重石をかけて圧搾し、黒い糖蜜を抜く。
研ぎと押し舟を数度繰り返し、最後に一週間ほど乾燥させる。
「和三盆」という名前は、盆の上で砂糖を三度ほど研ぐことからつけられたが、最近では製品の白さを求めて研ぎと押し舟を5回以上行うことが多い。
【利用法】特に高級和菓子の材料として珍重される。
加工糖
ざらめ糖を材料として、成型・再結晶等の加工を行った砂糖。
主にコーヒーや紅茶等の飲料に利用する。
濃度と純度の高いしょ糖液から、時間をかけて大きな結晶に成長させたもの。
約2週間かけて結晶を自然成長させる“ロック”と、ドラムを回転させ4~5日でつくる“クリスタル”の2種類がある。
果実酒によく利用するほか、おやつや非常食にもする。
グラニュー糖を細かく粉砕したパウダー状の砂糖。
吸湿性が強いので、固結防止のためにでん粉を少量加えることもある。
果物にかけたり、ケーキやチョコレート等のアイシング、洋菓子のデコレーションに用いる。
黒蜜
または、黒砂糖を水に溶かして煮てアクを取り除き、煮詰めたもの。
はちみつ
主成分は果糖とぶどう糖。ハチの巣は常に35℃前後に保たれるため、水分が蒸発し糖分が80%ほどになる。
【栄養成分】ビタミンB群が豊富。
メープルシロップ
カエデ科のさとうかえで(砂糖楓)の樹液を煮詰めてシロップ状にしたもので、独特の香りがある。
樹液は2~3月に直径30㎝以上の木に小穴を開けて採取する。
水の沸点以下で固体になるまで濃縮したものをメープルシュガーといい、水の沸点以上で濃縮したものをメープルバターという。
【利用法】ホットケーキシロップ糖。
食塩類
成分のほとんどが塩化ナトリウム。
調味料の基本であり、体にも不可欠な成分だが、摂りすぎには注意。
塩化ナトリウム99%以上を含む乾燥塩。
天日塩を精製したもので、塩化ナトリウム95%以上、水分1.4%の湿った塩。
もっとも広く使われている塩。塩化ナトリウム99.5%。
しょうゆ類
大豆と小麦に種こうじを加えてこうじを作り、食塩水を加えて発酵させてできた「もろみ」を搾り、加熱殺菌したもの。
香り成分はメチオニンが発酵したもの。うま味成分はグルタミン酸。
JAS規格では「こいくち」「うすくち」「さいしこみ」「しろ」「たまり」の5つに分類している。
色は薄いが塩分濃度は16%と、濃口醤油より高い。おもに関西で使用されてきた。
刺身醤油として、また加熱するときれいな赤みが出るので、照り焼きにも使われる。
仕込みの際、食塩の代わりに生醤油(火入れしていないしょうゆ)を使うのが特徴。
色はごく薄い黄金色。お吸い物等、しょうゆ色をつけたくない料理に使われる。
ほかに、みりんや砂糖等を加えるものが多い。
食酢類
穀物や果汁等を醸造してつくられる、酸味が特徴の調味料。
酸味成分は酢酸、クエン酸等の有機酸。食欲増進効果の他、殺菌効果もある。
屋外に並べた壺に蒸し米・米こうじ・水を入れ、1つの壺の中で糖化、アルコール発酵、酢酸発酵、熟成を完結させる珍しい製法で、1年以上かけて作られる。
健康飲料としても利用される。
イタリア語の「バルサミコ」とは、芳香があるという意味で、独特の香りとうま味があるので、少量をアクセントとして利用する。
ワインを原料とした酢。
リンゴ果汁に酵母を加えて発酵させたりんご酒に酢酸菌を加えて熟成させたもの。
さわやかな酸味で、お酢ドリンクとしても利用される。
みそ類
大豆を主原料に、米・麦・豆等のこうじ・塩を加えて発酵させて作る。
しょうゆとともに、日本料理には欠かせない調味料。
みその全生産量の80%を占める。色や味は地方によりさまざま。
西京漬等に用いられる甘い味噌。色が白いことから白みそとも呼ばれる。
大豆と麦こうじで作る味噌。米みそよりも甘味がある。
だし類
動物性、または植物性のうま味成分を抽出した、料理の基本となる汁のこと。
和食・洋食・中華の違いだけでなく、料理の目的によっても使い分ける。
お吸い物・味噌汁・スープ等に使う。
精進料理などに使われる。
昆布だしにかつおを入れて取る。
煮物・鍋物等、和食一般に広く使われる。
独特のうま味があり、くさみを感じにくいため、さまざまな料理に合う。
精進料理などに使われる。
味噌汁等に。
シチューやスープ等の洋風料理に使う。
肉で取っただしを濃縮したもの。チキン味やビーフ味がある。
そのまま使うストレートタイプと、希釈する濃縮タイプがある。
ウスターソース類
イギリスのウースターシャー地方発祥のソース。
野菜や果物の汁等に塩・砂糖・酢・香辛料等を加えて熟成させた液体調味料。
JAS規格ではその粘度により「ウスターソース」「中濃ソース」「濃厚ソース」に分類。
塩分と酸味は一番強い。
戦後に広まった濃厚ソースより一足遅れ、食卓の洋風化が進んだ昭和30年代に登場。
とんかつソースとも呼ばれる。また、たこ焼きソース・お好み焼きソース等、食品を特定して調整されたものも多い。
調味ソース類
生牡蠣から抽出した液汁に調味料とでん粉等を加えて加熱配合したもの。
魚を塩で漬けて発酵させ、液体化したもの。特有の臭みがあるが、動物性たんぱく質に由来するアミノ酸を多く含むため、濃厚なうま味をもつ。
西洋料理の基本的なソースのひとつで、肉料理に多く使われる。
ブラウンソース(小麦粉をバターで炒めた茶褐色のブラウンルーに肉と野菜のだしを加えて煮込んだもの)に、牛の骨やすね肉と香味野菜のだしを加えて煮詰め、洋酒で風味をつける。
北京ダックのつけみそや、回鍋肉に使われる調味料として有名。煮物や炒め物にも合う。
小麦粉を焦がさないようにバターで炒めたホワイトルーを牛乳で溶き伸ばしたもの。
西洋料理の基本的なソースのひとつ。
クリーム煮・グラタン・パスタソース・クリームコロッケ・シチュー等に使われる。
和え物、サラダ、鍋等に利用される。
九州名産。九州ではとうがらしをこしょうと呼ぶので、この名がついた。
辛味調味料類
辛さに特徴のある四川料理に欠かせない調味料。加熱することにより辛さと風味が増す。
「タバスコ」は商標名で、メキシコ・タバスコ州原産のタバスコペッパーを使い、アメリカで考案された。
青唐辛子(ハラペーニョ)を使った緑色のものは辛さがマイルド。
ちなみに、ピザやパスタにかけるのは日本独自の使用法。
餃子のタレ等に使われる。
トマト加工品類
JAS規格では無塩可溶性固形分24%未満。
無塩可溶性固形分24%以上。
無塩可溶性固形分30%以上。
可溶性固形分は8~25%。
ドレッシング類
植物油脂、酢または柑橘類の果汁、調味料を合わせ、サラダ用の調味料として調整されたもの。
半固体状、分離液状、乳化液状のものがある。
日本では卵黄のみを使用したコクのある「卵黄型」が主流。
油の層が分離しているものと、乳化液状のものがある。
青じそ、わさび等も利用される。
ルウ類
あらかじめ調合した調味料を小麦粉・油脂・でん粉等で固形状にしたもの。
油脂類
植物性油脂と動物性油脂に大別される。
植物性油脂は原料となる植物の果実や種実を圧縮・精製して作る。
動物性油脂は牛・豚・鶏などの脂を原料とし、それらを溶かして精製して作る。
常温(15~20℃)で液体のものを油(オイル)、個体のものを脂(fat)と分類する。
植物性油脂類
必須脂肪酸のα-リノレン酸等が豊富で健康効果があることが知られるようになった。
必須脂肪酸のα-リノレン酸が豊富で、アレルギーに効果があるポリフェノールも含む。
酸化しやすい。
ドレッシングで生食することが推奨される。
ほとんどの植物油は種子から採られるが、オリーブオイルは果肉から採油される。
精製していないものを特にバージンオイルと呼ぶ。
酸化しにくく、加熱に強いオレイン酸を多く含む。
透明でクセがなく、抗酸化物質のゴマリグナンが豊富。太白(太白)と呼ばれる。
濃い色で特有の香りがある。
γ-オリザノールという米油特有の成分が含まれているため、加熱安定性が高く、保存性にも優れている。
加熱すると酸化しやすいため、他の油と調合されて使われることも多い。
骨へのカルシウム沈着を助けるビタミンKが豊富。
サラダ油・天ぷら油等、用途に合わせて調合された油。
サラダ油は生のままドレッシングやマヨネーズ等に、天ぷら油は揚げ物等に使われる。
菜の花の種から採取された油。
世界では大豆油、パーム油に次いで生産量が多い。
常温で固形なので、マーガリン・ショートニングなどの原料に使われる。
動物性油脂類
常温では白色の固形。体内でコレステロールや中性脂肪を増やす飽和脂肪酸を多く含むので、摂り過ぎには注意が必要。
融点が35~55℃とたかいので、口の中でも溶けにくい。冷めると風味が落ちるので、冷たい料理には不向き。
豚の脂身を溶かし、精製したもの。
豚油だけを使った純正ラードの他、他の油脂を配合した調整ラードもある。
常温では白色のクリーム状。融点は牛脂より低く27~40℃のため、冷えて固まっても口の中で溶けやすい。
炒め油、揚げ油の他、ラーメンスープの調味料としても広く利用されている。
バター類
牛乳から分離した乳脂肪分(クリーム)をさらに撹拌して乳脂肪の粒子を包んでいるたんぱく質の膜を壊し、脂肪だけを取り出して練ったもの。
残ったものはバターミルクと呼ばれ、製菓材料になる。
バターを練り上げるときに2~3%の塩分を添加する「有塩バター」と、製造過程で塩分を加えない無塩バターがある。
ヨーグルトのような淡い酸味があり、風味が豊か。
ヨーロッパでは発酵バターが一般的。
マーガリン類
フランスでバターが不足していた時代に代替品として考案されたものが原型。
バターの原料が牛乳なのに対し、マーガリンの原料は植物性・動物性の油脂。
JASの品質規格で油脂含有量は80%以上と決められている。
香辛料類
ジャマイカ原産の常緑高木、ピメントの未熟果を乾燥したもの。
ナツメグ・クローブ・シナモンの3つの香りを持つことからこの名が付く。
【利用法】シチュー等の肉料理から、フルーツやパウンドケーキ等の菓子まで用途は幅広い。
和からしは揮発性のツーンとくる辛味が特徴。
「粒入りマスタード」(あらびきマスタード)は粗挽きの実を酢で調整したもの。
「練りマスタード」は別名:フレンチマスタード。
【利用法】和からしはおでんやカツ等に。洋からしはサンドイッチ等。粒入りマスタードはソーセージ等に添えられる。
色の原料にターメリック・パプリカ等、辛味の原料に唐辛子・こしょう等、香りの原料にコリアンダー・カルダモン・クミンが使われている。
【利用法】カレー、炒め物等。
非常に強い香りを持ち、肉料理のにおい消しや風味付けに使われる。
【利用法】ローストポーク等の塊肉に刺して焼くのが一般的。
ピリリとしたさわやかな風味が特徴。
木の芽として使われるのは若葉。未熟な実は佃煮にも使われる。
【利用法】うなぎやみそ汁の風味づけ等。
樹皮を乾燥させたもの。上品な甘い芳香が特徴。粉末とスティックがある。
【利用法】粉末はカプチーノやアップルパイ等の香り付け。スティックは砂糖つぼに入れて香りを移す等。
根を香辛料や生薬として用いる。日本では生のまますりおろすことが多い。
食肉加工品に利用されるため、ソーセージの語源のひとつともなっている。
肉や魚の臭みを消すのに用いられる。
西洋版の七味唐辛子。
日本では乾燥して用いることが多い。辛み成分はカプサイシン。
種子の中の仁を乾燥させ、粉末にしたもの。ひき肉料理に欠かせない香辛料。
【利用法】ハンバーグ等。
葉を用いる。粉末、乾燥の他、イタリア料理には不可欠な香辛料。
【利用法】
【利用法】
赤く熟したものを乾燥させ、粉末にしたもの。
【利用法】
一般に市販されている粉わさびはホースラディッシュとよばれる「西洋わさび」で、辛み成分と香りが本わさびと同じだが、まったくの別物。本わさびのイメージに合わせるため、緑色に着色している。
その他
キムチ漬け、汁物、炒め物、和え物、鍋物等に使う。
甘酒、かす汁等に使われる。
飲用にできないように、酒税法に定められた食塩や酢等を添加してある。
重曹だけを使った場合に比べ、色・臭気・苦味等が改善されている。
小麦粉と合わせてふるい、洋菓子やまんじゅうの皮等に使われる。